【完】俺のこと、好きでしょ?
有馬くん、一匹オオカミなんかじゃないじゃん。
その先輩には、そんな嬉しそうな笑顔を向けられるんだ……。
胸がチクリと痛む。
あたしはこの場にいるのがいたたまれなくて、落ちてる1冊のノートを拾うと、有馬くんのもとへ行って声をかけた。
「有馬くん、ノート持っていくよ」
すると有馬くんは、あたしに気づく。
「え、いや、俺も持ってく」
「いい。これあたしの仕事だから」
そう言って、半ば強引にノートを奪い取った。
うわ、今のあたし、可愛くない。
だけど今は、一刻も早くここから離れたかった。
あたしは急いで、その場から立ち去った。