【完】俺のこと、好きでしょ?
「あぁ、確かにちょうど良かったかも」
すると、思い出したようにつぶやく有馬くんが、立ち上がってあたしの方へとやってきた。
「やっとあんたに、謝れる機会ができたから」
「……謝る?」
有馬くんの言動の意味がわからず、あたしは小首を傾げる。
「うん。こないだ、ノート運ぶの手伝ってたとき、途中で放棄したから」
あぁ、あのときのことか……。
有馬くんの言葉で思い出す。あたしが、イヤな態度とっちゃったときのこと。
「あれから、あんた美術室こなくなったし、怒らせたかなって思って……」
「……! 怒ってないよ!あれは、なんていうか……」
……なんか、モヤモヤして……。
表現しようのない気持ちに、思わず口ごもってしまう。
「あんたに避けられると、結構ヘコむんだけど」
「さ、避けてない……!」
「そ。ならいい」
気まずかったのは事実だけど、あたしは避けているつもりはなかった。
確かに、積極的に近づけなかったのも事実だけど……。