【完】俺のこと、好きでしょ?




「なんか、あたしが勝手に一人で浮かれたり、空回ったりして落ち込んでるだけ。
それがバカらしくて、どうしたらいいんだろうーってぼんやり考えてたら……泣けてきた」



消せるものなら、消してしまいたいこの気持ち。



有馬くんに、泣いてた理由を間接的にしか伝えることができなかった。



けれど必要以上に踏み込むことをしない有馬くんは、淡々とした口調であたしに言い放つ。




「グズグズしてないで行動したら? そういうの、あんたらしくない」



「!」



有馬くんの言葉にハッとする。



それは、優しい言葉とはとてもかけ離れているけれど、あたしの心を軽くしてくれるには十分なモノだった。



「何もせずに悩んでるのって、あんたの性に合ってないよ」



目の前にいる有馬くんは、どこか優しい笑みであたしにそう告げた。



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