【完】俺のこと、好きでしょ?
「ていうか、こんなところで何してんの?」
「いや、廊下歩いてたらものすごい音がしたから何かと思って……」
「ふーん」
そっけなく返事をすると、有馬くんは制服を腕まくりし、キャンバスの方へ視線を向ける。
……あ、腕、ほどよく筋肉がついてて、かっこいい。
って、違う違う。あたしは変態か。
「有馬くんこそ、美術室で何してるの?」
「え、美術室で絵を描く以外に何かすることってあるの?」
筆を取った有馬くんが、キョトンとした表情で振り返って聞き返してきた。
いやいや、そんな真面目に返されても困るんだが……。
「そもそも、有馬くんって美術部の部員だったの?」
「違うよ」
「なら、どうして?」
「ただ、放課後の暇なときに絵を描くだけ」
へぇ、意外。
有馬くん、絵画とかするんだ。
あたしの勝手なイメージで、有馬くんは無愛想だけど、実はスポーツと勉強はできちゃうような、マンガでよくありきたりのイケメン君だと思ってた。