【完】俺のこと、好きでしょ?
校舎を出て中庭まで行こうとしてる途中に、体育館の近くを通ると物音が聞こえてきた。
……バスケットボールの音?
誰か練習でもしてるんだろうか?
でも、あたし達は基本、体育の授業に球技大会の練習があるし……昼休みにわざわざ練習するなんて、ずいぶん練習熱心なんだなぁなんて思った。
……ちょっと、覗いてみよう。
体育館の正面玄関ではなく、サイドの小さなドアからそっと覗いてみる。
「……えっ……」
なんと、ボールをドリブルしてゴール下にいたのは、有馬くんだった。
「有馬くん!」
「……っ!」
呼びかけに驚いた有馬くんは、ドリブルのタイミングがずれてしまい、ボールを落としてしまう。
そのままあたしのもとへコロコロと転がってきた。
あたしは手に持っていた冊子とお弁当をちょんっと床に置くと、ボールを拾った。