【完】俺のこと、好きでしょ?
そう言って、あたしは靴を脱いで体育館の中へ入る。
ゴール下まで行くと、手のひらを広げて有馬くんからのパスを待つように構えてみせた。
「いや、だからあんたは俺といない方がいいんだって」
「なんで?」
真面目なトーンで聞き返す。
「……なんでって、昨日のでわかっただろ?俺といると、あんたまで巻き込ま……」
「その言葉、禁止」
「えっ?」
「あんたまであんたまでって。有馬くんはあたしのことなんて考えなくていいんだよ。
あたしが有馬くんと話したり関わるのは、全部あたしの意思なんだから」
いつもひとりでいる、一匹オオカミなキミに言いたい。
「ひとりで無理するなって、有馬くん言ってくれたよね?」
あたしもそっくりそのまま、言い返すよ。
「あたしがいるじゃん!」