【完】俺のこと、好きでしょ?
虚をつかれたかのように呆然としてる有馬くんに、あたしは走って近づくと、
「隙あり!」
「うわっ」
ボールを奪い取った。
そのままゴールに向かって走っていくと、タイミングを見計らって1、2、3歩とジャンプシュートをきめる。
小さな弧を描いたボールは、キレイにゴールに吸い込まれた。
「やった! ほら、あたしが勝ったから、有馬くんはあたしを避けるの禁止ね!」
振り返ってそう言えば、有馬くんが問い返した。
「……なんで?」
「えっ?」
「あんたはクラスでも人気なんだし、俺といたら変な目で見られるだろ?
俺、気の利いた話とかできないし。それなのに、なんで?」