【完】俺のこと、好きでしょ?
「いつもここで絵を描いてるの? 」
「別に。人がいないときだけ来てる」
「そっか。美術部には入らないの?」
美術部には、あたしの友達も所属している。
だから美術部の活動がない日を、さっきあたしは知っていたんだ。
「…………。 団体で絵を描くのは苦手」
あれ?
今、なんか一瞬、さみしそうな顔をしたのは気のせい?
「有馬く……」
「集中したいから、もう黙って」
名前を呼ぼうとしたら、遮られてしまった。
やっぱり、有馬くんは一匹オオカミだ。
近づこうとしても、すぐに拒絶される。
……でも、意外と話してくれたよね。
あたしが美術部の話題をだすと急に不機嫌になって喋らなくなったけど……。
想像してた人物像とは、違うのかも。
せっかくだから、もっと色々話してみたいんだけどなぁ。
でも、有馬くんの言動から、邪魔だと思われてるのはよくわかったから……。
うん!邪魔にならない程度に関わろう!
そんな思案に辿りついた。