【完】俺のこと、好きでしょ?
Chapter*2
破れた想い
梓が突然言い出した。
「うちの部長、留学するみたい」
「えっ!?」
今、〝今日の朝ごはん、トーストだった〟並みに淡々と言ったけど、とんでもないことを言ったよね?
「……部長って、棗先輩だよね?」
「うん、そう」
「なんで?」
「なんか、絵の勉強したいみたい。結構前からプロの人からアメリカに行く話がきてるんだって。そのチャンスを逃したくないみたい」
……ア、アメリカ……!?
それってあの、ハロー、ハーワイユーとか言う、日本語じゃないとこだよね?
棗先輩、そんな遠くに行っちゃうの!?
「わりと本格的にしてると思ってたけど、まさかプロの画家目指してるとは思わなかったな〜」
梓がぶつくさつぶやく中、あたしは頭の中で有馬くんのことが思い浮かんだ。