【完】俺のこと、好きでしょ?
体育館から帰る道のりの廊下を歩いていると、美術室の前を通りかかることになる。
けれど、あたしは思わず立ち止まってしまった。
そこには、さっき体育館にはいなかった有馬くんと……棗先輩がいたから。
胸がズキリと痛むと同時に、どうしていいかわからず戸惑った。
ただわかるのは、有馬くんはあたしとの練習ではなく、棗先輩を優先したということ。
いや……まあ、わかってたんだけど。
練習なんて、いつでもできるし。
有馬くんにとって、棗先輩はなによりも大切な存在なんだろうし……。
そんなこと、とっくのとうにわかってたのに……こんなに胸が痛くなるのは、知らなかった。
ふたりはまだ、距離があるせいかあたしの存在に気づいていない。
と言うより、なんだかふたりの様子が変?
あれ……?