夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
室内って事はバスケ?
でも体育館はあっちにあったし。
考えていれば何処からかバシャバシャという音が聞こえてきた。
その音に私は思わず足を止める。
この音、間違いない。
聞き慣れた音を間違える訳がない。
私は俯きながらぎゅっと唇を噛む。


「高瀬?どうしたんだよ」

「ごめん、私やっぱり帰る!」

「はぁ!?勘弁しろよ!
もう先輩に報告しちまったよ!!」


高岡くんは困った様に眉を下げる。


「少しだけだから!なっ!!」


無理やり私を引っ張り足を進める高岡くん。
抵抗しても男の子の力には敵わず私は2度と見ないと誓った光景を目にしてしまった。

バシャバシャと飛び交う水飛沫。
準備体操で体をほぐす生徒。
気持ち良さそうに泳ぐ人。
その全てが私を不快にさせる。


「皆さん!連れてきましたよ!
マネージャー候補!!」

「おー!ナイス高岡!」

「可愛い子じゃん!!」


私たちに群がる様に集まる部員。
ジロジロと私を見る部員に私は不快感だけが募っていく。
違う、この人たちはあの人たちとは違う。
そう自分に言い聞かせてもガクガクと足が震えてくるのが分かる。

“水泳部”

それは私にとって、見たくもなない、聞きたくもない、大嫌いな部活。
そして私が何よりも大切“だった”もの。
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