夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「高瀬……?」

「あ……ごめん……」


高岡くんの声で私は現実へと呼び戻された。
体の震えは既に治まっていたが心は闇に呑み込まれていた。


「高瀬 真希です。よろしくお願いします」


部活に入るつもりも、宜しくするつもりもないけど私は頭を下げた。


「こちらこそ宜しく!!」


皆いい人そうだな。
でも信じられない。
ぎゅっと拳に力を入れた時


「高瀬さん?」


思わず力を抜いてしまうくらい優しい声が私に向けられた。


「蒼井先生……?」


声の方を見れば上半身裸の上にパーカーを着た担任が目に入る。
水着を着ているって事は。


「水泳部の顧問だったんですね」

「……はい」


先生は哀しそうに笑みを浮かべた。
何でそんな顔をしているのかは分からない。
でも先生の哀しい顔は見ていたくなかった。


「高瀬さんはどうしてここに?」

「私は……」

「マネージャーっす!!」


私の声を遮り先生に答えたのは高岡くんだった。
って言うかマネージャーって。
さっきまで“候補”って言っていたのに。


「マネージャー……?」


先生はビックリした様に私を見ていた。
それもそのはずだ。
泳がない宣言をしたばかりだし、この前の私の反応を見たら水泳部に入るなんて1ミリも思わないだろう。
それに私も入るつもりはないし。
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