夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
プールから上がり部員の皆の元へと戻る。


「真希ちゃん!!すごいじゃん!!」

「おめでとう!!」


部員の皆は自分の事の様に喜んでくれている。
その笑顔は本当に嬉しかった。
先生や高岡くんだけじゃなくて皆が私を支えてくれた。
だから喜びたい、だけど。


「高瀬!!」


満面な笑みで私に駆け寄ってくる高岡くん。
その顔を見ると胸が痛んだ。


「高岡くん……ごめん」

「は?」


私が謝れば高岡くんはキョトンとする。


「高岡くんの代わりに出たのに……」


声が震えた。
悔しい、悔しいよ。
涙の代わりに胸の奥が熱くなっていく。


「お前もしかして優勝するつもりだったのか!?」

「……うん。
高岡くんと約束したから……。
だから……守れなくてごめん」


親友との約束1つ、私は果たせない。
無力で、情けなくて、苦しい。
俯き掛けた顔がピクリと止まる。


「お前……馬鹿だろ……」


俯き掛けた顔がピクリと止まる。
呆れた様に笑う高岡くんが目に入ったからだ。


「ブランク明けで……。
しかも2週間前まで全く泳げなかったお前が3位だぞ!?」


高岡くんは優しく笑うとポンポンと私の頭を撫でてくれる。


「お前はよくやった!
期待以上だ!それにな……」


高岡くんの優しい顔は一変怪しく笑う顔になる。


「2週間で平泳ぎをマスターできるほど甘くねぇんだよ!」

「それはそうだけど……」

「平泳ぎは俺の専売特許なんだよ。お前にはやらねぇよ!」


高岡くんの言う通りだけど、それでも私は。


「そうだね!3位で上等だよね~」


明るい声を出しながら皆と一緒に騒ぐ。
それとは正反対に心の中は凄くモヤモヤしていた。
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