夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「そんなモノ関係ないわよ!
だって当人同士が好きならそれでいいじゃない!
……ねえ、お父さん!!」


お母さんはお父さんの横で笑顔を振りまいていた。
同意を求める相手を間違えているのではないか。
だってお父さんは教師だし、絶対に賛成する訳がない。
そう思っていればお父さんは笑顔で頷いていた。


「そうだとも。
恋に歯止めは聞かないもんだ」

「……何その、妙に説得力がある感じ」


お父さんが言うと他人事には聞こえなかった。
まさか……。
一瞬ある事が頭に浮かぶが、ブンブンと頭を振ってその考えを振り払う。
そんな事がある訳がない。
うんうんと頷いて入ればお父さんが衝撃的な事を口にした。


「だって、父さんと母さんがその例だからな」

「ねー!」


お父さんとお母さんは顔を見合わせながら笑っていた。
いい大人が子供の前でラブラブモードを出さないでいただきたい。
そう思ったが、固まったまま動けずにいた。
だって、その例って。


「お母さんってお父さんの生徒だったの!?」

「あら?言っていなかったかしら?」


楽しそうに笑うお母さん。
聞いていない。
もし聞いていたとしたら忘れる訳がないだろう。
こんな衝撃的な事を。
ポカンとしていればお父さんが私の肩を叩いた。

「そういう事だ。
もし真希が蒼井の事を好きなら応援するぞ」

「そうよ!
蒼井先生なら真希を幸せにしてくれるわ!」


勝手に盛り上がるお父さんとお母さん。
何を言っているのだろうか、この2人は。
そう思いながらも、何処かホッとしている自分がいるのに気が付いた。
何で私はこれほどまでに安心をしているのだろうか。
別に、お父さんとお母さんが私と蒼井先生の事を応援してくれようが反対しようが関係ないのに。
だって私と先生は、ただの教師と生徒なのだから。


「ん……?」


ズキンと痛む胸に私は頭を傾げた。
教師と生徒。
その響きが私に違和感を与えて、胸の痛みを促していた。
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