夢が繋げた未来～何度倒れても諦めないで～
先生の車で私の家へとやってきた。
玄関を開けようとした瞬間に扉が開く。
お母さんとお父さんが今まさに出掛けようとしている時だった。


「お母さん！一体何がどうなって……」


お母さんに詰め寄ろうとしたら、お父さんが割って中に入ってくる。


「急に出掛ける事になってな！
でも真希を1人にすると家がハチャメチャになりそうだから蒼井に頼んだんだ」

「ハチャメチャって……」

「まあ、いいじゃない！
先生と2人になれて嬉しいんでしょ？」


コソリと私の耳に囁くお母さん。
その言葉に馬鹿みたいに反応する様に私の頬は熱くなっていく。


「ち、ちが……」

「高瀬さん？」

「あ、いや、何でもないです！！」


ブンブンと顔を横に振りながら先生に答える。
でも先生の顔を見るだけで鼓動が速くなって上手く言葉が出てこない。


「悪いな、蒼井。
いきなりこんな事を頼んで」

「本当だよ！
先生の迷惑も考えてよね！！」


先生の代わりに私はお父さんを睨みつける。
でも先生は優しく笑うと私の頭を撫でた。


「迷惑なんて思っていないですよ。
高瀬先生にはお世話になりましたし少しでもお役に立ちたいんです。
それに……」


先生は少し言葉に詰まるとコホンと咳払いをしていた。
耳まで紅くなる先生にトクンと心臓が脈を打つ。


「高瀬さんと一緒にいられるなら、凄く嬉しいですから」


先生の笑顔が、あまりにも素敵で私は何も言えなくなってしまう。


「あら？いい感じね？」

「ああ、邪魔をしない様に早く出掛けよう」


ニヤニヤとした顔のままお母さんとお父さんは車に乗り込んだ。
そして止める暇もなくあっという間に出掛けてしまった。
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