夢が繋げた未来～何度倒れても諦めないで～
「原田選手が傍にいてくれた、それだけで大きな力になっていたんだと思います」


そうじゃなければ、先生は。
あんなに優しく笑えてはいないだろう。
過去を乗り越える為には、沢山の勇気と誰かの支えが必要だ。
だから、原田選手の優しさが今の先生の笑顔へと繋がっているんだって私は思う。


「……そう……だといいけど……」


何かを堪える様に言うと、原田選手は優しく目を細めた。
そして、大きな掌を私に向かって伸ばしてくる。
反射的に目を瞑れば、彼の笑い声が耳に届いた。


「本当に良かった。
真希ちゃんが、蒼井の傍にいてくれて」


ポンと頭の上に大きな掌が乗った。
そこから彼の人柄が滲み出てくる様な気がする。

ねえ、先生。
あなたは本当に素晴らしい親友に巡り出会えましたね。
ココまで誰かの事を想える人は中々いない。


「本当に良かったです。
原田選手が先生のの幼馴染で」


開いた目を優しく細めて原田選手と同じ様な事を言う。

今まで先生を支えてきた人たちや原田選手は私なんかより先生の事を知っているだろう。
先生が今まで歩んできた道のりもそこにある苦労も。
私が知っているのはそれを乗り越えてからの先生な訳で。
だから知っている事はほんの僅かかもしれない。

私に何が出来るかは分からないけれど。
先生を想う気持ちは誰にだって負けないつもりだ。
だけど。


「これからは私もいます。
だから原田選手が1人で背負わなくたっていいんです。
一緒に先生と歩んでいきましょう」


先生には原田選手が必要だから。
いなくなっては困るんだ。
彼が何を背負っているかなんて分からないけれどそんなに抱え込まなくたっていい。
それが少しでも伝わる様に私は頬を緩めた。


「……そうだな……」


原田選手は何かを吹っ切った様に小さく笑った。
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