夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
やっぱり、先生と原田選手は特別なんだ。
2人の仲にはヤキモチすら妬けなくて。
寧ろ微笑ましく思える。


「高瀬さん?どうしたんですか?
やっぱり原田くんに何かされましたか?」


私の顔を覗き込みながら眉を下げる先生。
心配そうな顔が子犬にしか見えなくて更に微笑みが出てしまう。


「違いますよ。
でも、原田選手に会えてよかった」


先生には大切な人がいるって知れてよかった。
そう思い笑えば先生はまた拗ねた様に顔を歪めた。
そして視線を原田選手へと向けた。


「原田くん、用事が済んだならもう帰ってください。
キミがこれ以上ここにいたら高瀬さんに悪影響です」

「はあ!?
悪影響ってなんだよ……。
ったく蒼井のマイペースさにはついていけないな」


口ではそう言いながらも原田選手の顔は優しかった。


「じゃあ、帰るか!
高岡君、途中まで一緒に帰らないか?」

「あ、はい!光栄です!!」


高岡くんは喜んでいたけれど。
私には分かっていた。
原田選手がわざと私と先生を2人にさせようとしているという事を。
高岡くんが着替えに言って3人になったプール。
何とも言えない空気感が流れていてでもそこには確かな温かさがあった。


「真希ちゃん」

「は、はい?」


原田選手に手招きをされた私は不思議に思いながらも駆け寄れば耳元で再び囁かれた。


「君が想っているよりずっと蒼井は真希ちゃんの事を大切に想っているよ」


その言葉を聞いた途端に顔が一気に熱くなっていく。
先生の本心は分からないけれど大切に想っているなんて言われて嬉しくならない訳がない。


「まっ……後は本人に聞きな!
勝負の事を含めて……な!」


そう言って原田選手は私の体を優しく押した。
優しくとはいってもいきなり押されるとは思ってもいなかった私はバランスを崩してこけそうになってしまう。
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