夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「ま、まじですか……!?」

「す……すげぇ!!」

「うちの学校から2人も!?」


目の前には満面な笑みを浮かべる高岡くんと興奮気味に騒ぐ先輩たちがいた。
あれからすぐに先生と部活に行き皆の前で高校選抜の話をしたんだ。
反応は私と同じで皆驚いていたけれど嬉しそうだった。


「はい。
まだ選ばれた訳ではありませんが名誉な事には変わりません」

「そりゃそうですよー!
うちの学校の水泳部がもっと有名になりますね!!」


ニコニコと笑う先生も。
手放しで喜ぶ先輩たちも。
心の底から喜んでくれている事が分かる。
普通なら1年が候補にあがったら風当たりが強くなる可能性だってあるのに。
ココの人たちは皆優しくて温かくて。
こんな先輩とたちだからずっと一緒に泳いでいたいって思うんだ。


「真希ちゃん、そんな呑気そうな顔してて大丈夫?」

「呑気って……先輩、酷いですよ!」


先輩たちの事を考えていたのに。


「痛ッ!?」


心で文句を言っていれば高岡くんにバシッと頭を叩かれた。
この暴力男。
その単語を呑み込む代わりに高岡くんを睨んだ。


「ったく、何だよその目は。
気合いを入れろ、気合いを!」

「入ってるって」

「嘘つけ!!そんなんじゃあ選抜に入れないぞ!!」


高岡くんの熱量には敵わないけれど私だってやる気は十分だ。
夢を現実へと近付けるチャンスなのだから。
ぎゅっと奥歯を噛みしめて顔を上げる。
その視線の先には先生がいて。
目と目が合えば笑顔を見せてくれる。


「高岡くんの言う通り、選抜候補に選ばれたからと言って選抜になれるとは限りません」


そう言って先生は選抜の仕組みを説明してくれた。
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