夢が繋げた未来～何度倒れても諦めないで～
「な、何だよこれ！？」

「ん……？」


驚いた声に目を開ければそこは学校の校門だった。
熟睡をしていたらしい。
まだ寝惚けたままの私はアクビを噛みしめながら高岡くんの肩を叩く。


「どうしたの？」

「あ……あれ見ろよ」


高岡くんの指の先を辿る様に目を向ければ校舎がある。
でも昨日までなかったものがそこにはあった。


「な、何あれ！？」


大きな垂れ幕には私と高岡くんの名前が書いてあった。
内容は選抜候補に選ばれたというものだ。
まさかこんなに大袈裟な事になるとは思っていなかった。
呆然としていれば周りが騒がしくなっていく。


「今度は何？」

「お、おい高瀬！しっかり掴まってろ」

「掴まるって……！？」


言い終わる前に高岡くんは再び自転車を漕ぎ出した。
何がなんだか分からずに後ろを振り向けばスーツを着た男女が何十人も走っていた。


「ちょっと待ってください！！」

「少しでいいのでお話を……！！」


しかも私たちを追って。
手にはメモ帳やらマイクやら色々持っていたけど。


「な、なんなの！？」


一体あの人たちは……。
考え込んでいれば高岡くんがその答えを教えてくれる。


「たぶん記者だろ？
先生が1年で選抜候補に選ばれたのは異例だって言ってたし、取材かなんかじゃね？」

「取材って……」

「まあ、選抜はそれくらい注目をされてるって事だな」


いくら異例だからって大事にし過ぎなんじゃ。
心で苦笑いを浮かべる。
でも、また注目の選手になれたって事なのかな。
そう思うと少し複雑だけど嬉しかった。
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