夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「じゃあ今日はここまでにします」


先生の合図に皆は騒ぎ出す。
帰りの支度をしていればコツコツと足音が聞こえてきた。


「高瀬さん」

「先生……?」


顔を上げれば先生が私の席の前までやってきていた。

何か用事かな?
もしかして雑用とか?

首を傾げていれば先生はゆっくりと口を開く。


「少しお話があるのですが」

「は……はぁ」

「では……着いて来てください」


話?いったい何だろうか。
頭を回転させて考えれば数分前の光景が頭に浮かんだ。
もしかして由梨と喋っていた事のお説教だろうか。
確信はないが、それしかないだろう。
そんな事を考えながら先生の後を追うように教室を出た。


「見て見て!
あれって蒼井先生じゃない!?」

「あぁ1年5組の担任だよね!
格好良いよね~!!」


先生と廊下を歩いていればたくさんの女の子の視線が向かってくる。
先生って人気者なんだな。
それはこの光景を見たら一目瞭然だ。
格好良いから騒ぐ気持ちも分からなくはない。
だけど、廊下を歩くだけでこれだけキャーキャー言われたら先生が可哀想だ。


「先生……大丈夫ですか?」

「はい?」

「あ……いえ……」


思わず出た言葉に慌てて口を閉じる。
私は何を言っているのだろうか。
無意識に出た言葉に驚いていれば先生はフワッと笑みを浮かべた。


「キミは優しいですね」


先生の声があまりにも優しくて私は首を横に振る事しか出来なかった。
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