夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「……落ち着きましたか?」

「……はい。ありがとうございます」


私が言えば先生はゆっくりと私から離れる。
さっきまで感じていた先生の温もりが消えていく。
それが無性に寂しく感じた。

って、何を考えているのだろうか。

ブンブンと首を横に振り変な考えを吹き飛ばす。


「大丈夫ですか?」


クスッと笑いながら先生は優しく私の目を見つめる。


「あっ……」


その時、トクンと胸が高鳴った気がした。


「高瀬さん?」

「え……いえ!!何でもないです」


気のせいだよね?
そう思いながら私は笑顔を浮かべる。


「高瀬さん」

「は……はい」


急に呼ばれた私は姿勢を正し先生を見上げる。


「……こんな時に言うのはあれですけど……」


先生は言いにくそうに顔を歪める。
何だろう?
首を傾げた私に衝撃の言葉が降ってきた。


「やっぱり……。
僕の夢を叶えてくれるのはキミがいいです」

「へ……?
先生の夢って……」


“指導者として教え子をオリンピック選手にする事”

頭に浮かんだ先生の夢。
それは確か前に断ったはずだ。
だって私には。
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