夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「キミが泣くとどうしていいか分からない。
胸がぎゅっと苦しくなって凄く辛いんです」


先生は困った様に笑うと私の頬を両手で優しく包み込む。
そして。
先生の顔がゆっくりと私に近付いてくる。

ドキドキと高鳴る鼓動。

私は動けないまま先生を見続けていた。
唇が重なりそうになった時、大きな声がプールへと落とされた。


「高瀬!!」

「た、高岡くん!?」


咄嗟に離れた私と先生の間には不自然な距離が出来ていた。
高岡くんはそんな私たちにズカズカと近寄って来た。


「ど、どうしてここに!?」


とっくに帰ったと思っていた彼がこの場にいる事が不思議で尋ねれば、彼は困った様に眉を顰めた。


「帰ろうとしたけどよ……。
やっぱりお前が心配だったんだ」

「高岡くん……」

「それに、好きな女を他の男と2人にさせとくなんて癪だからさ」


そう言って先生を見ると軽く睨んでいた。
でも直ぐにいつもの高岡くんの笑顔に戻る。


「調子はどうだ?」

「……全然ダメ」


わざと明るく言えば、高岡くんは『そうか』と少し悲しそうに言った。
でも、すぐに私を励ます様に肩を叩いた。


「まあ、ブランク明けなんてそんなもんだろ!
気長に行こうぜ!」


励ましてくれているのは分かる。
でも、『気長に』その言葉に頷くことは出来なかった。
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