教室の中の1段目
第一章
私の組には、階段がある。
全部で3段の階段。
ー1段目、「汚染」
ー2段目、「スポンジ」
ー3段目、「クリーム」

これは、3段目の奴らが勝手に私達のことをそう呼んでいるだけだが。
私はもう慣れてしまった。
ちなみに私はというと、1段目-汚染の分類だ。


私の学校は郊外にある私立の中学校。
小学校から大学まで連携している進学校。
お受験をしてこの学校に通っている人が多い。歴史は古くさかのぼること82年前。当時の校長が、この辺の子供たちは学ぶことを知らなくて可哀相だという理由で建てたのだそう。

でも校舎はまるで出来たばかりの様に美しい。これが私立の特権なのだろうか。トイレだって黒ずみ一つない。
私は、校舎の隅々まで綺麗なことと制服がブルーのリボンで可愛いことを理由にこの学校に中学校から入学した。

なんてことは嘘。
私は小学校の頃、一人だった。俗に言う「ぼっち」だった。
女子のグループモンダイが色々とややこしくなってきた時に、あぶれたのだ。
その時のクラスの女子の人数は奇数だった。
奇数ほど嫌な数はない。何かするにしてもあぶれるのだから。

5年生頃からずっと、卒業するまで一人だった。なら、そのまま中学校に行ってもひとりになるに違いないと考えた私は、それ程良くない頭をフルに回転させて受験をしたのだ。

もののはずみで合格したときは驚いた。
運命が私を変えてくれそうな気がした。
この中学校が私を受け入れてくれる。
もう小学校の時同じクラスだった奴らとはおさらばだ。
そう思うと入学式の前日は眠れなかった。

だが、中学校でも変わらなかった。
大げさに言うと、「井の中の蛙、大海を知らず」だ。
小学校のぼっちはまだ良い方だったのだ。
中学校に入ると、クラスの3分の2はお受験組だった。
つまり、小学校からこの私立校です、という人が多かったのだ。
私のクラスは、入学式後すぐに階段に分かれた。

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