Reason



自分の熱を覚まそうと、

話題を変えようとした。



「あ、宿屋くん、

拭くの慣れてたけど何でかな?

すごく早かったし!!」



『あぁ、妹が居るんだよ、小6の。

小さい頃、よく親に面倒見てろって

言われてさ笑』



あかりんに似て

おっちょこちょいなんだよな

って妹さんの事を思い出しながら

話してくれた。


それで慣れてたんだ。

初めて宿屋くんの家族の事を聞いたな。




「妹さん居るんだー!

宿屋くんのお父さんとか

どんな人なの?」



何気なく聞いただけだった。



『…っ、さあな』




一瞬、間が空いた


今まで聞いたことがない冷たい声と

恨んでいるような表情



宿屋くんは明らかに動揺して


それよりさ、って言って

ほかの話題に変えようとした。



わたしは驚いたけど

これ以上聞いてはいけないと感じて

何も言えず、宿屋くんの話を聞いた。




――――――――――――――――――



初めて見た宿屋くんの顔に

わたしは初めて怖いと感じた。

それと同時に、

これ以上近づくなと

警告をされているみたいだった。



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