アイドル君と私


拓海の呼び掛けに、一生懸命ペンライトをふる望の隣で咲は戸惑っていた。


「ん?どうかした咲?」


「あっ、いや…」


「あっ!そっか?咲は会ってるっ…!」


そう言いかけた望の口を慌てて塞ぐ咲。


「望のバカ!こんなとこで言っちゃ…!」


「んぐっ…!」


苦しそうに咲の手を離す望。


「はぁ―…あのね!うるさくて誰にも聞こえてないわよっ」


「けどっ…」


「いーから、MC!MC!」


そう言って望はRetのMCに夢中に聞き入っていた。


ったく…。


少し周りをキョロキョロしながらも、再び咲もステージに視線を向ける。


そして、そのままコンサートは順調に進んで行く。


Retは客席の近くに行ったり、全力で広いステージを駆け抜ける。


ライブの構成にファンは興奮しっぱなしだ。



< 102 / 545 >

この作品をシェア

pagetop