アイドル君と私
そんな中咲は、望と一緒に盛り上がりながらも、少し戸惑ってステージを見つめていた。
そして、カウントダウンが近づいた頃。
激しいダンスナンバーを終えたRet達が、少し息を切らしながら中央ステージに集まる。
そして廉が次の曲紹介を話しだした。
「え―…そろそろカウントダウンが近づいてきましたね?」
「イェーイ♪」
「で、次聞いてもらいたい曲は、今年のアルバムに収録されてた曲で、3人で初めて作詞した曲になります」
曲名が分かるのか、客席からは黄色い声援が飛ぶ。
咲の隣で望も「キャー!」と興奮している。
「えっ…?」
どうしよう…?
私、分からない。
キラキラした周りの目に、咲は申し訳なく感じる。
そして、ステージ上で廉が続ける。
「初めての披露になりますが、精一杯歌いたいと思いますので聞いて下さい…“thankful”」