アイドル君と私


「…は、はい…」


「あっ…咲ちゃん?俺……廉だけど…」


「あっ…うん、えっと…」


咲は戸惑って次の言葉が思い浮かばない。


すると、隣の部屋の玄関からも話し声が聞こえてくる。


えっ!?ヤバイ!


「と…とにかく今開けるからっ」


「えっ!?あっ…いや俺買い物っ…」


と、言いかけた廉の言葉を途中に、通話ボタンをもう一度押して切った。


足早に玄関のドアを開ける咲。


「と…とにかく入って?…良かったら?」


「あっ…うん」


少し戸惑いながら中に入る廉。


廉は手にスーパー袋みたいな物を下げていた。


「廉くん……それ?」


「あっ…うん、近くの薬局で買ったんだ、風邪って聞いてありきたりな物しか買ってないけど」


「あ…ありがとう」


袋を受け取り中を見ると、栄養ドリンクに熱さまシート、水などが入っていた。



< 111 / 545 >

この作品をシェア

pagetop