アイドル君と私
「…は、はい…」
「あっ…咲ちゃん?俺……廉だけど…」
「あっ…うん、えっと…」
咲は戸惑って次の言葉が思い浮かばない。
すると、隣の部屋の玄関からも話し声が聞こえてくる。
えっ!?ヤバイ!
「と…とにかく今開けるからっ」
「えっ!?あっ…いや俺買い物っ…」
と、言いかけた廉の言葉を途中に、通話ボタンをもう一度押して切った。
足早に玄関のドアを開ける咲。
「と…とにかく入って?…良かったら?」
「あっ…うん」
少し戸惑いながら中に入る廉。
廉は手にスーパー袋みたいな物を下げていた。
「廉くん……それ?」
「あっ…うん、近くの薬局で買ったんだ、風邪って聞いてありきたりな物しか買ってないけど」
「あ…ありがとう」
袋を受け取り中を見ると、栄養ドリンクに熱さまシート、水などが入っていた。