アイドル君と私


「……友達だから?」


「……えっ?」


思わず“友達”と口にしてしまった咲に、廉も戸惑っている。


「…………。」


少しの沈黙の後、廉は一瞬切なげな顔をした。


そして、咲から視線をずらして口を開く。


「………そうかも」


「…えっ…?」


「多分…友達だから…」


「………っ」


一瞬、胸がスギッと鳴った。


「そっか…そっかそっか」


咲は少しふっと笑った。
そして、顔を上げて笑顔を廉に向けた。


「そうだよね?…同じ地元だしねっ」


「うん…そだね?」


そっか…“友達”か。


「ありがとう廉くん、話してくれて…」


「えっ…?あっ…うん」


少しうつむく廉をよそに、咲は廉の買ってきてくれた袋を見る。



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