アイドル君と私
笹原の眼差しに絶え切れず、咲はドアに手をかける。
「あの…本当にありがとうございました」
咲がドアを開けて車から降りると、運転席からも笹原が降りてくる。
「星野っ!」
「………っ」
また笹原の呼び止めに、咲は足を止める。
「俺、誰にでもこんなことしねーからっ!」
「えっ…?」
笹原の言葉に、咲が振り返る。
「おまえだから、した事だからっ」
「………っ」
「それと…」
「えっ…?」
「叶わない恋なんかやめて、俺のこと考えろっ」
「……っ!」
「じゃあ…今日は暖まって寝ろよ?」
「……はい、お疲れ様です…」
「お疲れっ」
そう言って笹原は車に戻り、車を発進させた。
笹原の車が行った後、笹原の車が停まってた少し後ろに、気づくとタクシーが停まっていた。