アイドル君と私


すると、再度廉から文字が返ってくる。


“他の人には?”


そんな廉の文字に、咲は少しドキッとする。


本当は…廉くんに渡そうと思ったけどな。


そう思って、再びペンを取る咲。


“誰にもあげてないよ。”


そう書いて廉に紙を向けると、 廉は少しホッ…とした様な表情をする。


「咲ちゃん…」


「はい?」


「さっきの話、有り難く受け取ってもいいかな…?」


「……えっ?」


少し照れた廉は、ペンを取った。


“お礼なんて思わなくていいから、
俺と、1日付き合って?”


「……えっ…?」


1日って…。


それって、廉くんと1日遊べるってこと?


「…ダメかな…?」


少し小声で、照れた様な顔で聞く廉に咲はとまどった。


どうしよう?


“友達”って決めたのに、廉くんと1日いたら…私。


うつむく咲に、廉が呟く。


「…咲ちゃん…」


「廉くん…」


廉が真っ直ぐな瞳で咲を見る。


その瞳に、咲はドキッとする。



< 164 / 545 >

この作品をシェア

pagetop