アイドル君と私
2人の日
そして、約束した2人の日。
AM 11:00。
緊張のあまり、咲は鏡をじっ…と見る。
いや…緊張してもしょうがないし、
ただ、遊びに行くだけなんだから。
「ふぅ―…」
胸に両手を当て、呼吸を整える。
「よし…切り替え、切り替えっ」
そう言って支度を進めて、時刻は12:00。
《今、下に着いた》
と、廉からのメールを受けて、咲はアパート下に降りた。
すぐ見えた廉の車の、助手席のドアを開ける。
「…こんにちはっ」
「こんにちはっ」
緊張した咲と違い、廉はまた爽やかな笑顔を咲に向けた。
ドキドキしながら、咲は助手席に座る。
「ふぅ―…」
平常心、平常心…。
そう心に言い聞かせて、咲も笑顔を作る。