アイドル君と私


「…えっ…?」


咲が笹原を見ると、笹原は少し眉を下げて
優しい顔をしていた。


「…やっと、言ったな?」


「……はい、すみませんっ…」


「謝るな?知ってた事だからなっ」


「笹原さん……私、笹原さんがいたから気持ち決められたんですっ」


「えっ…?」


「笹原さんが気持ち伝えてくれなかったら…ここまでちゃんと自覚できたのか…分かりません」


「そうか…逆効果だったかぁ~」


「えっ…?」


そして笹原は立ち上がった。


「おまえは本当に思い通りに行かないな?」


「えっ…?」


「彼も苦労するだろうな?」


「えっ…」


彼って、廉くんのこと?


すると笹原はタバコを取り出し、咲に背を向けた。


「じゃっ……行けよ?」



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