アイドル君と私


「えっ…」


「俺は一服してから…まだ仕事があるからな」


「あっ……はい」


咲は立ち上がって、笹原に頭を下げた。


「それじゃ…お先に失礼しますっ」


少し早足でその場を離れると、曲がり角の所で咲は振り返った。


笹原は後ろ姿のままタバコを吸っていた。


笹原さん…


そして咲は前を向いて歩いた。


私なんかのこと……


好きになってくれて、 ありがとう……。


――




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