アイドル君と私
「そんな所じゃないですね、アイツは意地っ張りの強情女ですよ?」
「えっ…?…強情…?」
「きっと、2人の間には大きな壁があるんでしょうね?あなたも本気でぶつかれば彼女の本音が見れますよっ」
「本音…」
「まぁ―…私からは以上です、長々とすみませんっ」
「…いえ…」
そして2人は椅子から立ち上がった。
「年かな?俺がこんな事するなんて……では、白石さんっ」
「はい…?」
「あなたの……決断が楽しみですっ」
「えっ…?」
優しげな笑みでそう言った笹原に、廉は再びとまどう。
「では、失礼しますっ、引き止めてすみません」
笹原はそう言うと、廉に頭を下げて店内へ戻って行った。
とまどったままの廉も、とりあえずお店を出ようとすると、接客していた咲が目に入る。
……“決断”……
心の中に、そんな言葉を刻みながら廉はお店を出ていった。