アイドル君と私
「えっ…?ねぇ?あれって…違うよね?」
「えっ?いやぁ―こんな所にいないでしょ?」
「だよね~?」
2人の話し声を聞いて咲は一旦顔を上げた。
「ん…?何だろ?このやり取り…前もどっかで…」
咲が店内を見渡すと、
「……っ!?」
ちょっと待って、
廉くん!?
咲のいる後ろの列を、キョロキョロとしながら歩いている廉がいた。
いや、ちょっと待って
変装してるけど、
オーラ出てる――!
咲は少し焦りながら廉にゆっくり近づいた。
「あの……鈴宮さん?」
「あっ…いた!こんばんはっ」
「……っ」
“いた”って、
私のこと探してたの…?