アイドル君と私
白石廉。
本当に来たんだ…。
今日の廉はいつもより少しシックな服装でいて、この後も予定があるんだと…私は気づいた。
「急いでるみたいですね?すぐに雑誌渡しますね」
私の言葉に白石廉は少し驚いていたけど、私はすぐに雑誌を取り置き棚から出した。
「…こちらで?」
「あっ…はい、ありがとうございます」
「あの…時間都合つかないようでしたら、15日過ぎても大丈夫ですよ?」
「えっ?あっ…でも、こういう事は初日が大事だと思ったんで…」
「…えっ…?」
そんな風に思ってたの?
「はぁ―…間に合って良かったぁ…」
ほっとしたように雑誌を見る廉を見て、私は思った。
この人は本当に誠実な人なんだ
…何て思ったんだ。
そして白石廉はお会計を済ますと、またお辞儀をして出入口に足早に向かって行った。