アイドル君と私


そして、誕生日の前日。


夜、部屋にいた咲は廉と電話していた。


『ゴメンね?咲ちゃん…』


「えっ…?なに?」


『明日、誕生日なのに俺仕事で…』


「ううん、そんな…いいのっ」


『でも、遅いかもだけど、仕事終わったら絶対連絡するからっ』


「うんっ、ありがとう」


でも、


私は廉くんに誕生日覚えてもらえるだけで…… 嬉しいよ?


けど、
やっぱり、それだけじゃないのかな?


私…やっぱり、淋しいのかな?


『咲ちゃん…』


「あっ…うん?」


『俺…こんなだけど……なるべく咲ちゃんとの時間大切にしたいからっ』


「廉くん…ありがとう」


……バカだな、私。


これ以上求めて…。


充分…幸せなことなのに。



< 312 / 545 >

この作品をシェア

pagetop