アイドル君と私
偶然って
そして8月も終わりに近づいた頃。
「はぁ―…疲れた、今日は作るの面倒くさいからコンビニで済まそう」
仕事の帰り道、私は家の近くのコンビニに寄ることにした。
「えっ?まだある…」
そう思って、私が手を伸ばそうとしたのは冷やし中華だった。
冷やし中華に手が届いたと思った瞬間…。
「…あっ…」
隣からも手が伸びてきて、私は振り向いた。
「……えっ?」
隣にいたのは、白石廉だった。
「あっ……こんばんわ」
「こ…こんばんわ」
「どうぞっ?」
廉が差し出したのは、残り一個の冷やし中華だった。
「あっ……でも…」
「いいよ~俺麺類なら何でも良かったからっ」
廉は笑ってそう言うと、違う物を取ってレジに向かった。
「……もらってしまった」