アイドル君と私


「後ろにある花…」


「……えっ?お花?」


咲が後部座席を振り返ると、座席の上に花束が置かれていた。


「…っ……この花って…」


「うん…お墓に備えるんだよね?」


「……お墓…?」


「ゴメン…俺言うタイミング分からなくて」


「……っ…」


“もしかして”…?


すると、咲の頭に過った言葉を廉が口にした。


「今日…命日なんだ……母さんの…」


「……えっ…」


そして信号が青になり、再び車が動き出す。


……命日…?


廉くんの、お母さんの…?


12/24が…?


けど、本当は心のどっかで…そんな気がしていた。


“もしかしたら”?
…って。


だって、Retのプロフィール。


廉くんの家族構成の所に、“母”の文字がなかったから…。



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