アイドル君と私
そして、車は神社近くの駐車場に着く。
夜だけど、廉はいつものように帽子にだてメガネと、マスクをつけた。
「ここから歩きだね?大丈夫?」
「うんっ」
「じゃあ、行こっか?」
咲は廉に笑みを返すと、2人は車から降りて神社までの道を歩く。
咲は前のカップルが手をつないでイチャイチャしている姿を、つい見てしまう。
「………。」
チラッと隣の廉を見る咲。
少しだけ…羨ましいけど、
やっぱり
これ以上は…望めない。
かじかむ手を、きゅっ…と握り咲は歩いた。
そして賽銭箱前に着くと、人だかりが更に増した。
「わっ…すげっ…」
「う…うんっ」
「あっ…あのさっ」
「えっ…?」
廉は左手をグーパーグーパーとしている。