アイドル君と私
『……そう?』
「あのさっ…」
『うん?』
「もし…もし、俺が…咲ちゃんのこと…」
『…うん?』
そう言いかけて、廉は声を出さずに唇を“さ”と動かした。
『……えっ?廉くん?』
「……あっ…」
咲の声に廉はハッ…として、照れくさくなり言葉にするのをやめてしまう。
「あっ…いや、ごめん…なんでもないやっ」
『あ…そうなんだ?』
「………。」
『………。』
2人は無言になってしまう。
「あっ…じゃあ、俺…そろそろ行くね?」
『あっ…うん?頑張ってね?』
「うんっ、じゃあ…また?」
『うんっ、また…』
そう言って、2人はぎこちなく電話を切る。