アイドル君と私
「えっ…それは…どうだろう…」
そっか、
去年は確か、笹原さんがいて…いろいろあって、 結局廉くんには渡せなかったんだよね。
もう…あれから一年かぁ。
早いなぁ…。
そうだよね?
去年も渡せてないし。
咲は小さく頷いて、もう一度望の方を見た。
「うん…やっぱり渡そうかな?」
「そうそうっ、もちろん手作りでしょ?」
「えっ…?やっぱり…?」
「当たり前じゃん、気持ちは大事よっ」
「あっ…はいっ」
咲は不安に思いつつも、
望にそう答えた。
ーー
一人部屋に帰り、
咲は携帯を取り出す。
「廉くんに14日少し時間取れるか聞いてみよう…」
廉にメールを送った後、
着替えとメイク落としを済ませてテーブルの上の携帯を見ると、廉からの返信が来ていた。