アイドル君と私
「ふふっ…やだ、驚かないでよっ?少し…気づいてたでしょ?」
比奈の言葉に、廉は少しとまどいつつも口を開いた。
「ひぃ…俺っ…」
「いやっ…!」
突然比奈の強い口調が聞こえてくる。
「……えっ?」
「バカ廉っ、ヤダよっ…聞きたくないよ…」
「…ひぃ…」
困った顔をした廉に、比奈の眉が下がる。
「ゴメンね…?廉にそんな顔させたかったわけじゃないのっ…でも、焦ったのかな?廉に好きな人がいて…」
比奈は廉の目を見る。
「私が…廉の近い人になりたいのっ…」
「ひぃ…俺……」
再び廉が、口を開こうとした時…。
「あ~やめやめっ、そろそろ時間ヤバイでしょ?廉っ」
「えっ?あ―…うん」
すると、比奈は廉に少し切なげな笑顔を向ける。
「じゃあ…またっ、今度打ち上げでっ」
「あっ…ひぃっ」
比奈は廉の声に振り向かずに先に出ていってしまった。
廉はその場に少し立ちすくむ…。
――