アイドル君と私
「じゃあ、あっち行こっか?」
そう言って比奈はドリンクを持ったまま店内の奥のソファー席に向かった。
そこに座る2人。
「……ここで言って?」
「ひぃ…」
「大丈夫よ、その方があやしまれないでしょ?」
比奈の言葉に廉は軽くうなづいた。
周りはガヤガヤしていて、とても2人の会話は聞こえない。
そして廉がゆっくり口を開いた。
「ごめん…ひぃ、俺ひぃの気持ちには……答えられないっ…」
横顔のまま話す廉の顔を、切なげな顔で見つめる比奈。
「比奈も知ってる通り…俺には今、大切な子がいるんだ、その子のこと…不安にさせたくない…」
そんな廉の言葉に、少し ふふっ…と笑う比奈。
「ハッキリ言うなぁ―…」
「……ごめん」
「ううん、私の方がごめん…」
「えっ…?」