アイドル君と私


「あっ…おはよう?咲ちゃん…」


「…うん、おはよう」


「ゴメンね?俺…遅かったかな?」


少し寝ぼけた廉の声に、咲はドキッとする。


「ううんっ…全然っ、あっ…お茶入れるね?」


「うんっ、じゃぁ俺歯磨いてくる…」


「うんっ」


歯磨きをしに行った廉をチラッと見た後、
咲はドキドキする胸を抑えながらお茶を入れる。


二つの湯呑にお茶を入れて、咲が一息ついていると、ふっ…と後ろから廉に抱き締められる。


「……っ!!」


「おはよう…咲ちゃん」


「お…おはようって、さっき…言ったよ?」


「うん…でも言いたくなった…」


咲がドキドキしながらうつむくと、
廉の少し落ち着いた声が聞こえてくる。


「帰る支度…しよっか?」


「……あっ……」


…そっか?
もう…帰らないと、


廉くんは仕事があるんだから…。


咲は小さくうなづいた。


「うん…そうだね?」


そして2人は帰る支度をして、旅館を出ることに。



< 449 / 545 >

この作品をシェア

pagetop