アイドル君と私
廉の熱
旅行の日から一ヶ月。
桜も散った頃。
廉の相変わらずの忙しさもあり、
2人は再び会えない日々を過ごしていた。
そして、ある日。
廉は仕事前早くに呼び出され、事務所の社長室に、マネージャーは廊下にいた。
呼び出された訳は…少しぽっちゃりした社長が口を開く。
「白石…おまえを呼んだ理由は分かるか?」
「……いえっ」
廉は神妙な面持ちで社長を見る。
「本当はRet全員を呼びたかったが、探った所…おまえの名前が上がったもんでな…」
「俺の…名前?」
「白石…単刀直入に言う、おまえは今ターゲットにされてるんだ、週刊誌の」
「…えっ…」
俺が…ターゲット?
廉は前に、比奈に助言された事を思い出して、少しうつむく。
「白石…週刊誌にターゲットにされる意味は分かるよな?」
「……。」
廉は少し眉間にシワを寄せた。
「おまえの日頃の性格、態度からして、裏の顔を書くようなことはないっ…とすれば、残るは“熱愛報道”だけだっ」