アイドル君と私
きっと、廉くんは私が心配すると思って、
ハッキリとは言って来ないんだろうけど…。
私は…どうすれば…
咲は一人思い悩む。
テレビの中のRetの番組で、笑う廉を咲は見つめる…。
ーー
次の日の仕事終わり。
咲が本屋を出ると、裏口の通りに
またあの黒いバンが停まっていた。
「うそ…?なんでここに…?」
咲は不安になり、一旦店の中に戻ろうとすると、望が中から出てきた。
「もうっ、先行かないでよ~咲っ」
「……っ…望」
「…えっ?どうしたの?」
咲の少し不安気な顔に、望が驚く。
「ううんっ…何でもないの、い…一緒に帰ろ?」
「えっ?だから帰ろって、言ってたのに~先に出て行ったの咲でしょー?」
「ご…ごめんっ」
「ほら、バスの時間あるし、行こう?」
「…うんっ」
咲は望と足早に本屋を離れる。
まだ不安気な顔で、咲がバス停に立っていると、咲の携帯が鳴りビクッとしてしまう。
「あっ…電話?誰っ?彼?」
望がニヤニヤしながら言うと、咲は携帯画面を見る。
「……廉くんからだ」
「ほら、やっぱり~早く出なっ」
「…うん」
咲は携帯の通話を押す。