アイドル君と私
特別な人
咲が廉に一方的に別れを告げてから、
数日。
咲は新しい店舗で働き始めた。
夜、職場が離れてしまった望と電話をしていた
『っていうか、咲…』
「うん…?」
『あんた、部屋まで引っ越すことなかったんじゃない?』
「あー…うん、でもなんかケジメっていうか…期待とかしたくないし…」
『ケジメって…悪いことしてたわけじゃないのに…』
「…うん…」
『廉さぁ…聞かなかった…』
「えっ…?」
『咲の…居場所…』
「……そっか?」
『“彼女が大切…傷つけたくないっ”…て、
そう言ってたよ?』
「そう…なんだ」
廉くん…
そんな風に、言ってくれてたの?
『本当に、これで良かったの?咲…』
「……うん、もう決めたことだから…大丈夫、心配しないで?」
『うーん…』
電話越しに笑みを浮かべる咲。