アイドル君と私


すると、少し前を歩く勇介が口を開く。


「……なーんてねっ?」


「……えっ?」


勇介は咲に振り向いた。


「本当は、俺の独断っ!」


「えっ!?なっ…なんで?」


咲の言葉に、勇介は真剣な眼差しを向ける。


「……君のことが……気になったから…」


「……えっ…」


どういう…こと?


「だから、早く2人になりたかったっ、ただそれだけっ」


「そ…それだけって…」


こういう時、
どういうリアクションしたらいいんだろう…?


「今日はもう遅いし、送るよ?家どこっ?」


「えっ…?いやっ…その…一人で大丈夫ですからっ」


「ヤダねっ?送らせて?連れ出したお詫びっ」


「………っ」


そして咲達はバスに乗り、咲の新しいアパートに向かった。


すると、隣に座ってた勇介が唐突な事を言ってくる。


「星野さん、連絡先教えてっ?」


「……えっ!?」


何っ!?突然っ!?


「いいじゃんっ、ダメ?」


「いやっ…ダメってわけじゃ…」


この人って…なんか軽い?


「今…彼氏いないんでしょ?」


「……えっ?」


「麻里ちゃんから聞いてるっ、だから…聞いても大丈夫だよね?」


「あっ……はい」


咲は携帯を取り出し、勇介と連絡先を交換をした。


今…
“はい”っていうまでの間、また…浮かんだ。


彼の顔…


ダメだな…私…。



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