アイドル君と私
「あっ、軽いナンパじゃないよっ?」
「えっ…」
「タイプだったから…近づきたかった…
ただ、それだけっ」
そう言ってニコッとする勇介。
「…そっ…」
それって、軽い方じゃないの?
「じゃ、俺そろそろ行くねっ?」
「あっ…はい」
「じゃぁ、またねっ?」
笑顔で手を降る勇介に、咲も軽く振り返す。
……っていうか、“また”っ?
携帯に入った、高山勇介を見る。
どういうつもりなんだろう…?
あの人…。
っていうか私、一日で連絡先と家教えてどうすんのよっ!?
あの人のペースに巻き込まれてる?
「……今度は、慎重にしよう…」
そうボソッと言って、咲は部屋に向かった。